すでに今期傑作アニメと名高い平家物語の第二話を視聴しましたので、感想や思ったことを記事にしています。
記事にはネタバレ情報を含みますのでご注意ください。
第二話のストーリーあらすじ
第二話は白く雪化粧の重盛邸と水仙の花のカットでスタート。
白い雪が溶けるように池の水に沈んでいくシーンが印象的です。
『娑婆の栄華は夢のゆめ』
人の世の栄華は儚く、長くは続かないのに裕福になり栄えてどうしようというのか。
娑婆=煩悩や苦しみに耐え、人が暮らすこの世界、現世。
殿下乗合事件のその後
殿下乗合事件の尻拭いをする為、平重盛(たいらのしげもり)は息子の資盛(すけもり)を伊勢に送り謹慎、摂政の基房(もとふさ)を襲撃した下手人たちはクビにし、重盛自身も権大納言を辞任、後白河法皇(ごしらかわほうおう)の息子である憲仁(のりひと)の元服の儀も弟の宗盛に任せて欠席することに。
重盛はあくまで自分が仕えるのは法皇様、憲仁様だと言いますが、重盛の背後に清盛の影を見る後白河法皇はその顔に難色を示す、妻の滋子は現状では父清盛の意向を完全に無視する訳にはいかない重盛も、いずれ名実ともに頭領になれば後白河法皇に忠義を尽くすことは明白、それに徳子を嫁に迎えれば平家の武が憲仁を護ると言う。
清盛は今様でいえば蝸牛、言うことを聞かねば蹴ってしまえ。
『舞え舞え蝸牛舞わぬものならば馬の子や牛の子に蹴えさせてん』
思う様にならぬは賽(さい)の目、鴨川の水、山法師とはよくいったもの。
さて平家はどうなるか。
新たな出会い
重盛の妹である平徳子(たいらのとくこ)が話し相手にびわを呼んでほしいとお願いしていた為、重盛とともにびわが六波羅へやってきます。
ここではびわと平清盛(たいらのきよもり)が相対することとなります。
重盛邸には四十八もの灯籠があり闇がそんなに怖いか?と清盛の重盛をからかう態度にびわが激怒、足を踏み鳴らし清盛に食って掛かり「一寸先は闇」と忠告します。
徳子とすっかり仲良くなったびわ、別れ際に牛車から降りてきた白拍子の姿に母を見たのか「おかあ」と駆け寄ります。生前の父に自分の母は白拍子であると聞いていたびわは、清盛のもとへ参上した白拍子が自分の母親かと勘違いしてしまったのでした。
白拍子の祇王はびわに優しく語りかけその場を後にします。
重盛は清盛に言われた闇が恐ろしいという言葉を気にしており、自分は子供の頃から闇が怖かった、それは左目が見せる暗闇のせいかもしれないと考えます。
「其方は何が恐ろしい?」と問う重盛に「未来(さき)が恐ろしい」とびわが答える。
重盛は闇が見えることばかりを恐ろしいと考えていましたが、未来が見えることもまた恐ろしいのだと悟ります。「闇も未来も恐ろしくとも、今この時は美しい」びわと二人、闇を照らす灯籠のあたたかな光を眺めます。
再会
再び六波羅へと足を運んだびわは徳子と祇王と再会します。
びわが奏でる琵琶の音色で祇王が白拍子舞う、びわも祇王もお互いのパフォーマンスを賛美します。
祇王は以前にびわの母が白拍子だったという話を覚えており、祇王自身の母も白拍子であり、びわと同様に左右の目の色が違うオッドアイの白拍子の話を聞いたことがあるそうだと語ってくれます。
その白拍子には子供がいたようですが、ある貴族に気に入られ懐柔されてしまったようです。びわはオッドアイの白拍子が自分の母なのかと思案しますがその所在は不明。
徳子はその白拍子のことをあちこちに尋ねてみると言ってくれ、祇王も「いつか、きっと、会えるわよ」とびわに優しい目で語りかけます。
ここでは未来が恐ろしいと言っていたびわが「いつか」というのは良い言葉だと言います。
「あした、あさって、さきのことがすこし楽しみになる」
そんな心境の変化を見せたびわは別れ際の祇王に「また今度」舞いを見せてと伝えます。
びわの小さな手を包むように祇王は「また今度もいい言葉ね」と答え仏御前の元へ。
また今度
ほーほけきょ、藤のしだればな、春を告げる鳥と山桜。
雨の重盛邸でぼーっと桜を眺めるびわの元を徳子が久しぶりねと訪れます。ぴょんと跳ね喜びを表現するびわが徳子に祇王のまた今度は?と聞くも・・・。
ー雨の竹林を走るびわー
祇王と妹の祇女、そして祇王の母は出家したのでした。
祇王が言う「恨めしかった」自分はまるで清盛の駒であると。
いつか徳子も言っていた「自分たちは駒でしかない、私たち以外も」とはこのこと。
(出家して)これからは穏やかに暮らせると祇王、「また今度が果たせなくてごめんなさい」とびわに謝罪をします。首をぶんぶんと横に振り大丈夫だよと言うように笑顔を見せるびわ。
帰り路は晴れ、雨上がり、すれ違う尼僧に何を思うか、恐れたさきを自ら見る。
白髪のびわが四つの緒を掻き鳴らすと二輪の赤い椿がぼとりと落ちる。
「娑婆の栄華は夢のゆめ」
尼となり許しを請う仏の手を祇王が包み四人は一蓮の上に身をおき念仏を唱える。
良い未来もあることを知ったびわが優しい笑みを浮かべて駆け抜ける。
重盛にその出来事を話すびわ。
あした あさって これから このさき ずっとさき もっとさき いいこともある。
祇王たちは澄んだ顔をしていた、徳子にも教えたいというびわに「徳子は入内(じゅだい)が決まり、年末天皇家に輿入れをする」と伝える重盛。
徳子の元を訪れ、未来を知るびわは徳子に行くなと懇願する。
びわの真意を知るはずもない徳子は会えなくなる訳ではない、大丈夫だよ。と諭す、「また今度」ね。
変えることの出来ない確定した結末。びわの晴眼が不意に見せた未来。
徳子の行く先 壇ノ浦の渦 平家の滅亡 宵闇の都に浮かぶ月 びわの悲痛な叫びは渦に飲まれ時代には届かない。
平家物語第二話の気になったシーン
平家物語、第二話も気になる要素が満載で面白かったです。
なんとなく気になったシーンとかピックアップしてみました。
色とりどりの美しい花々
アニメ平家物語は武士たちや戦の陰に隠れがちな女たちの物語にも密接しています。
女性の象徴とも言われる色とりどりの花が物語の各所に登場しています。
ソヨゴ
ソヨゴが描かれたこのシーンはびわと清盛が対峙しました。ソヨゴの花言葉は「先見の明」
ソヨゴは風に戦ぐ(そよぐ)ことから「戦」と表記されることもあり、未来を知るびわの「一寸先は闇」という言葉と相まった表現です。
重盛邸ではびわがこの赤い実と葉を使いかわいい雪兎を作っていました。
椿
白髪のびわが祇王や仏御前を語るシーンでは二輪の椿の花が首から落ちます。
出家することで清盛の元を去った二人を表しているように思えます。
死者を導く灯
重盛は四十八の燈籠を持ち『燈籠大臣』と称されていたそうです。
仏教に四十八願という言葉があり、重盛は単純に闇を恐れただけではなく、死者への弔いや暗闇にいる亡者たちの道標として置いているのかなと思いました。
未来が恐ろしいと言うびわに灯籠のあたたかな光を見せる重盛
びわと徳子の話
徳子がびわに話した内容
・徳子の妹の盛子(もりこ)は藤原基実(もとざね)の嫁になった
・基実は資盛(すけもり)が挨拶をしなかった基房(もとふさ)の兄
・基実は婚姻から2年後に死んでしまい、実質的に盛子が藤原家の所領や財産を手に入れることになった
・基房はそのことを面白くなくて資盛にひどい仕打ちをしたのかもしれない
・清盛は自分たちを駒としか思っていない、私達だけではなく他の人も・・・
・徳子も嫁に行かないといけないようで、嫁ぐ相手は6つも年下の男の子でその父は後白河法皇である
鳥の羽音に驚く維盛
また六波羅へ行くのか?とびわに語りかける維盛。資盛も居ないし、びわもいないと退屈なのかな。
戻ったら相手してやるというびわに偉そうにと維盛が言うと、びわが足をドンと床に叩き何を~!と反応します。その音で飛び去る鳥が数羽、羽音に驚く維盛の描写。
富士川の戦いでは「維盛が水鳥の羽音に驚き逃げ出す」という逸話があるようで、その伏線になっているのでしょうか。
祇王の舞に何思うびわ
びわの演奏で舞う白拍子の祇王を見つめるびわの表情。
同じ白拍子である母親の舞う姿を想像したのかなと思いました。
祇王と仏御前の話
祇王と妹の祇女は白拍子の名手と世にもてはやされる姉妹。
清盛は祇王を寵愛し、祇王の家族は栄える。
ある日現れた仏御前、祇王のとりなしで清盛へお目通り叶った仏は清盛に大層気に入られる結果に。祇王のことを考えてか、お暇したいと願う仏ですが清盛はそれを許さず、祇王に気を使い仏がこの場にいられぬと言うのであればと、あろうことか祇王を追放してしまいます。
さらには仏御前が寂しがっているからと、追放した祇王を呼び出し今様で楽しませてやれと残酷な仕打ち。祇王は母や家族を思い従う他ならぬ状況でさぞ苦しんだようです。
耐えかねた祇王は家族3人、祇女、母の「とぢ」とともに出家します。
その後、3人の庵を訪ねてきたのは剃髪し尼となり清盛の元から逃げ出してきた仏御前。
祇王に許しを請い、祇王は仏を許します。
諸共に念仏を唱え、ひとつはちすの身とならん。
極楽で一つの蓮華の上に生まれかわる。
出家した四人が集まる庵の窓
この画像の様に完全に開ききった時に丸く円の形になる窓のことを「吉野窓」と呼ぶそうです。印象に残る窓だなと調べてみると、京都には祇王寺という場所がありそこには四季折々の情景を映す「虹の窓」とも呼ばれる上記と同じ窓があるようです。
いつか自分の目で見てみたいと思いました。
徳子の髪
第一話の気になったことで、渦に飲まれそうな徳子の未来の映像の端にロープみたいなものを引っ張る右手が見えたと書いたのですが、第二話でもその様子が映されていて、よく見るとどうやら結った髪の毛のようでした。
ED映像の気になる部分
平家物語のエンディングテーマ、映像、どちらも最高ですよね。
もう50回以上は繰り返し見たかなと思います。
映像の背景はよく見てみると、髪の毛のように見えます。
途中で映るびわの髪とよく似ていると感じます。
それにしてもこのEDカットのびわはすごい表情をしますね。
うつらうつら、頭を揺らし目覚めたびわが、在りし日の光景を見ていたのだと気付いた時のこの顔が泡沫の様。
この目を見ると、いつかの夢のつづきを微睡み儚んでいたいと考えているように感じます。
背景が一瞬だけ赤→白と変化するところでは平家と源氏がイメージされます。
かすれた女性の歌声が聴こえる?
この動画でいうと、59秒から1分10秒までの間にかすかに歌声が聴こえる気がしますが、何と言っているかはわかりません。そもそも音声ではないのかもしれません。
五色
びわと重盛の目の色が気になって「青 黄 仏教」と検索してみると五色というキーワードがヒットしました。
仏教に五色という言葉があるようで、如来の精神を5つの色で表すことを言うそうです。
五色は青、黄、赤、白、黒の五色が基本のようで、びわの右目の色、重盛の左目の色、平家の赤、源氏の白と、滅亡に向かう未来の黒とか白髪びわのいる幻想的な黒い空間を五色のイメージで連想しているのかなと思ったり。
びわの右目に関しては、仏の目を青蓮華と例えて呼ぶことも関係していそうです。
平家物語は見る楽しさを教えてくれるアニメ
平家物語はすごく良いアニメだと評判です。
私が良いと感じる点は「作品を見る」楽しさを教えてくれるアニメだということです。
流された作品をただ見るのではなく、こちらから作品を知りたいと食い入るように見る。
そうさせてくれる作品が『平家物語』です。
以前にも映画『聲の形』という作品をなんとなく見た時にも似たような感覚で何度も見直し、知りたくて見たことが記憶に新しく、山田尚子監督の作品がそういうつくりなのかなと思ったりもしています。
もちろん監督ひとりではなく、制作陣全員の力によるものですが、本当に良い作品に出会えたなという感想です。
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