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【平家物語】アニメ第1話のネタバレ感想と考察|平家にあらざれば人にあらず

なんとなく気になって視聴したアニメ『平家物語』第一話の視聴レビュー

事前情報無しでどんなアニメかと思っていましたが、思いのほか面白く後から調べてみるとかなり豪華な制作陣で今期覇権アニメと評判みたいでした。

感想や気になったことなど思ったことを記事にしています、第一話のネタバレ内容を含みますのでご注意ください。

アニメ「平家物語」

TVアニメ『平家物語』は2022年1月12日よりフジテレビ「+Ultra」「各局・各配信サイト」順次放送開始。

 

『800年の時を超える祈りの物語』

祇園精舎の鐘の声、諸行無常の響きあり

沙羅双樹の花の色、盛者必衰の理をあらはす

 

アニメ『平家物語』では皆が知る平家物語では描かれない秘められたエピソードに強く接し、主役となる男性たち以外に女性たちの物語にもクローズアップされている。

時代に翻弄されつつも確かに懸命に生きた人々。

盛者必衰、栄枯盛衰、時代も人もいつか必ず終わりを迎えるが、過ぎた日に存在した平家物語は今も生き続けている。

STAFF

原作古川 日出男 訳「平家物語」河出書房新社刊
監督山田 尚子
脚本吉田 玲子
キャラクター原案高野 文子
音楽牛尾 憲輔
アニメーション製作サイエンスSARU
キャラクターデザイン小島 崇史
美術監督久保 友孝(でぼぎゃらりー)
動画監督今井 翔太郎
色彩設計橋本 賢
撮影監督出水田 和人
編集廣瀬 清志
音響監督木村 絵理子
音響効果倉橋 裕宗(Otonarium)
歴史監修佐多 芳彦
琵琶監修後藤 幸浩

 

CAST

びわ悠木 碧
平 重盛櫻井 孝宏
平 徳子早見 沙織
平 清盛玄田 哲章
後白河法皇千葉 繁
平 時子井上 喜久子
平 維盛入野 自由
平 資盛(幼少期)小林 由美子
平 資盛岡本 信彦
平 清経花江 夏樹
平 敦盛村瀬 歩
高倉天皇西山 宏太朗
平 宗盛檜山 修之
平 知盛木村 昴
平 重衝宮崎 遊
静御前水瀬 いのり
源 頼朝杉田 智和
源 義経梶 裕貴

MUSIC

・OPテーマ

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未来が見える目をもつ『びわ』

©️「平家物語」製作委員会

今作の主人公である琵琶法師の少女『びわ』

未来(さき)が見える右目をもつ。

平家の武士に父を殺されるも縁あって重盛のもとで暮らすことになる。

亡者が見える目をもつ『平重盛』

©️「平家物語」製作委員会

平清盛の長男。

人格者として人々の敬いを集めているが清盛と諸方面との板挟みで気苦労が多い。

その左目は亡者を見ることができる。

第一話のストーリーとネタバレ感想

琵琶法師の父の手を引き旅路を歩く『びわ』

そこで禿(かぶろ、かむろ)と呼ばれる赤い衣を身にまとったおかっぱ頭の子供たちが平家を悪く言う者をひっ捕らえるシーンに遭遇します。

父は余計なことに関わらないようにと『びわ』を制止しますが運悪く『びわ』が漏らした「平家への不満」を禿に聞かれてしまいます。我が子の危機をかばい琵琶法師の父は平家の武士に斬られ命を落としてしまいます。

父が斬られた際に『びわ』の左目に血しぶきが飛び、咄嗟に左目を抑える『びわ』

その時、未来が見える右目に映ったのは「平家の滅び」でした。

『びわ』はその後、平家の屋敷に侵入し父の形見の琵琶を奏で、音色につられてやってきた重盛に対し「お前たちはじき滅びる」と予言をします。

嘘ではない、と左目を手で覆い右目で未来を見ます。重盛も左目で亡き者たちを見ることができるので『びわ』の言っていることに興味を惹かれています。

この時『びわ』は何を思って屋敷内に侵入していたのでしょう。騒ぎにかけつけた平家の武士が刀に手をかけると父が斬られた時のことが蘇ったのか『びわ』が敏感に反応しています。

 

重盛がこれを制し『びわ』に「そなた、見えるのか?私だけかと思っていたが。」「何が見える?」と問いかけます。『びわ』もその言葉に興味を示し「あんたには何が見えるんだよ」と逆に問いかけます。

重盛は答えます「私には亡き者たちが見える」と、同時に重盛は『びわ』の父が平家の武士に斬られた場面をその左目で見ます。

 

ひざを折り『びわ』に起きたことを知り落胆する重盛。父は何も悪いことをしていないと言う『びわ』に「すまぬ」と謝罪をする。父の様に自分も殺せと泣き叫ぶ『びわ』

父を斬られ行き場を失い道に迷った『びわ』が平家への恨みを父の琵琶で伝えることで、そこで自分も斬られてしまってもいいと考えていたのかなと思ったり。

 

特異な目を持つ二人が出会うべくして邂逅したこちらのシーンでは

『びわ』の方に「水仙」が咲いており重盛側には「ヤツデ」が描かれています。

花言葉

水仙(白)神秘・尊敬・別離
ヤツデ分別・親しみ・健康

水仙は毒をもつ植物で、死と関連するという考え方もあるようです。

このシーンでは父の死、『びわ』の自分も父のように殺せという言葉に水仙の花が重ねられています。また重盛の方に描かれたヤツデの花言葉は<分別>仏教用語では様々な事理(現象や真理)を思いを巡らせ考える、思いはかる「思量」という意味があり琵琶法師の父と『びわ』の過去を見た重盛の心境に重ねられます。

そして二人の共通の特殊な目に対しては「親しみ」という言葉も適していそうですね。

実は琵琶と仏教は密接な関係にあるので、琵琶が描かれたこのカットで仏語から重盛の内面を読み取ることができる、とてもスマートな演出に感じられました。

 

重盛は『びわ』さえよければ、私の為にもここにいてくれないかと『びわ』と一緒に暮らすことを提案します。そうすれば『びわ』の見る未来を知り平家の滅びを回避できるかもしれないと考えたからです。

『びわ』は父にその目で未来を見るなと言われたことがあるようで、「未来(さき)は見ぬぞ」と釘を刺します。

詳細は語られませんが重盛の世話になることを決めた『びわ』は屋敷に一緒に住まうことになります。

『びわ』は身を案じた父から男の子として育てられていた為、女の恰好はせぬと男の子の恰好をして過ごすことになります。

©️「平家物語」製作委員会

重盛の子供たち、左から順に「維盛(これもり)」「資盛(すけもり)」「清経(きよつね)」「有盛(ありもり)」に『びわ』を紹介します。

この子供たちがこれまたかわいいです。

 

この後の『びわ』や重盛たちとの暮らしの様子は音声無しのBGMのみで描写され独特なのんびりとしたワンシーンが見られます。

冬の雪解け時期に椿、春は桜や桜のおはぎ、夏は平家蛍、秋になり紅葉と、『びわ』が過ごした季節の経過の見せ方がすごく良いです。

 

平徳子(たいらのとくこ)に出会い不意に未来を見てしまう『びわ』

©️「平家物語」製作委員会

徳子に女であることを見破られ驚いていると髪が風に煽られ左目をこすり、不意に未来を見てしまうことに。

未来の映像は壇ノ浦の女官飛び込みかと思われるシーンでした。

徳子は渦に飲まれていて、縄のようなものを持ち助けようとしている何者かの右手も見えますが詳細は不明です。

平家悪行のはじめ 殿下乗合事件

重盛の次男である資盛が鷹狩の帰り路で、摂政殿下(天皇の代理)の基房に出会った際に馬を下りなかった(礼を欠いた行い)為に、馬から引きずり降ろされ厳しく咎められてしまいます。

これに怒った清盛は六波羅の兵たちに基房一行を襲撃させ従者たちを馬から降ろし、髻(もとどり)を切り落としてしまいます。

報復の成功を愉快そうに笑う清盛と、やりすぎではないかと困じ果てる様子の重盛。

後白河法皇はこれに大変怒った様子で酒杯を飲みほし、白の杯を床に叩きつけ第一話は終了。

平家物語第一話の気になる演出シーン

色々と気になるシーンが多くとてもみどころ(聴きどころ)の多いアニメだなぁと、すごく楽しんで見ることができています。

平家物語、第一話で気になったシーンはこんな感じ。

冒頭の揚羽蝶と沙羅双樹

冒頭ではアゲハチョウと花が映ります。

平家の家紋には対い(むかい)揚羽蝶が使われていたようです。

沙羅双樹(さらそうじゅ、しゃらそうじゅ)と呼ばれる花が一緒に映されていて「沙羅双樹の花の色、盛者必衰の理をあらはす」の通り、揚羽蝶と沙羅双樹の関係は平家の衰退を暗示しているように感じられます。

私はこの作品について一切の事前情報がなかったので、最初にこのシーンを見た時は昔話っぽいのに、すごい現代的なエレクトロ、アンビエントなBGMにものすごい違和感を覚えましたが、その時点で引き込まれるものがあったということでしょう。実際何度も見返してみるととても良いBGMだなと感じます。

※平曲で語られる沙羅双樹は夏椿のことを指していると推測されています。

禿(かぶろ、かむろ)

おかっぱ頭の子供たち、平清盛が市中に禿を放ち平家を悪く言う者たちを密告させて取り締まっていたようです。

沙羅双樹の散華

未来の『びわ』と思われる白髪の琵琶法師が平曲を歌うシーンで再び沙羅双樹の花が登場しますが、ここでは散華するように白化した花が散っています。

仏陀入滅の際に側にあった2本又は複数以上の沙羅の木はその花や樹皮を白化させ舞い落ちたと言われているようです。花の影は散っていった人々の血のようにも見え、このシーンでは滅びを迎えた平家やあらゆる人々の死を悼んでいるのかなと思いました。

公式サイトのINTRODUCTIONにもある「800年の時を超える祈りの物語」は現代からも当時の人々を祈ることができることを伝えているように感じられます。

白髪の女性琵琶法師

上に書いた未来の『びわ』と思われる女性。

第一話時点で名言はされていませんが、メインビジュアルにも登場していますし、目の形やまんまる顔に面影が見えます。

気になる点として、瞳の色が変化していてフチが赤く虹彩は青くなっています。

青い右目は未来を見ることができましたが、左目まで青くなったことにどういう意味があるのか気になります。公式PVには重盛から亡者を見る目を継いでいると伺えるセリフがあり実際にOP映像中に『びわ』の左目が琥珀色に変化しているカットがあります。

通常の左目
重盛の目を継いだ?琥珀色の左目

白髪びわ(と思われる)の左目は色がさらに変化してしまって青くなっています。

白髪びわは『びわ』の未来の姿だと思われます、フチの赤い瞳はどことなくアルビノの瞳を思わせることもあり沙羅双樹のように『びわ』自身が白化してしまったのかなと思ったり。

『びわ』の持つ琵琶

『びわ』は父の形見の琵琶を大切に所持している様子がうかがえます。

上記のようにOP映像で琵琶法師の父が演奏している琵琶と、下記の大切に抱えている琵琶は同じ物のようなので形見として持っているのだと思います。

ちなみに『びわ』は琵琶のことを父の次に好きだと言っています。

白髪のびわ(と思われる)が持っている琵琶は父の使っていた琵琶とは別の物になっていますので、父の形見の琵琶はいつか手放すことになってしまうのでしょうか。それとも綺麗に保管しているのか。

白髪びわの着物は赤色ですが、平家物語では「平家は赤色」「源氏は白色」とされているようで、赤色の着物を纏っている白髪びわは一緒に過ごした平家の人々の物語を伝え続けるのでしょう。

『びわ』名前の由来

重盛が『びわ』に名を尋ねたときに『びわ』自身が自分の名は「びわ」だと伝えます。

実は父親から名を呼ばれたことが無かったらしく、父親の次に好きな琵琶の名を取って自身で名付けたという流れです。重盛が良い名だと伝えると『びわ』が少し嬉しそうな反応をしています。

『びわ』の青色の目、重盛の琥珀色の目

琵琶を奏でる『びわ』の目を重盛が優しく見守ります。

『びわ』は未来を見てほしいのかと勘繰りますが、重盛は『びわ』の目の色を美しいと思っていたと言います。父は『びわ』の目を怖がっていたと言うと重盛も自分の目は怖い「闇の中にいる亡き者たちしか見えぬ」と言い、その場から去ります。

闇に溶けていく重盛の後ろ姿を見つめていた『びわ』は心配そうにその名を呼びます。

ED映像が印象的

ED曲が始まり歌が入る瞬間に映像が一瞬だけ赤白に変わり平家と源氏をイメージしているのかなと思います。

ED映像は白髪のびわの表情がとても印象的です。

話(詞)を終えた後、ろうそくの灯をふっと消し、煙が流れ思いを巡らせるびわ、記憶の中の夢は進み、巡り巡り、諸行無常。

映像は全体的にモノクロチックなせいか、びわの目は白化しているようにも見えます。

琵琶法師はそのほとんどが盲目であったという話もあり、びわが未来も過去も見ることがなくなり記憶を語り継ぐようになったのかな?とか、悲しげな目は無常観を感じずにはいられませんでした。

ED曲から受けた印象は退廃的なエレクトロニクスで滅びに向かう平家の物語に合っている気がしました。

アニメ『平家物語』は非常に面白い

平家物語は日本人なら誰でも知っているとよく言われます。その理由として学校の授業で国語や歴史の勉強をしていた時に暗記した覚えがあり、表面上の話は知っているという人が多いのかと思います。

かくいう私は平家物語のことを一般の人ほどにも知らないので、日本の歴史でも人気のある平家の物語を知りつつこの傑作といわれるアニメを見ることができることがすごく幸運だと感じています。

 

アニメ「平家物語」は間違いなくおすすめできる作品です。

第一話を見ただけでも、ものすごい情報量で時間が足りないくらい楽しめました。

 

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